こんな人におすすめ
フランス革命やナポレオンの時代を学んでいますが、
難しくてよくわかりません。
丁寧にわかりやすく説明してください。
とお考えの学生の方、受験生の方、世界史を学びなおしている社会人の方
フランス革命中やナポレオンが台頭した時期の出来事を細かく区切り、
ひとつひとつのできごとについて詳しくわかりやすく説明していこうと思います。
主に統領政府の時代について詳しく説明します。
1799年 統領政府の成立
1799年 ローマ教皇と宗教協約(コンコルダート)を締結
1800年 フランス銀行の樹立
1802年 イギリスとアミアンの和約が成立(第2回対仏大同盟と和解)
→ナポレオン「終身統領」に就任
1804年 ナポレオン法典(フランス民法典)の発布
1804年 ナポレオンの皇帝即位
読者の皆さんへのメッセージ
こんにちは。
元々高校の教員をしていました。てっちりです。
このサイトでは、
世界史を学ぶうえでの「わからない。」「なぜ?」に
お答えできるよう、情報を掲載しています。
特に近現代史になると、学ぶ概念も難しくなってくるので
生徒からの質問もわんさか飛んできました(笑)
そんな、学んで苦戦してきた教え子たちの苦悩と
ひとつひとつの質問に丁寧に答えてきた私の苦悩を無駄にしたくなかったので、
今回は記事としてしたためました!
本題 統領政府の時代
統領政府の成立
★成立の背景:ブリュメール18日のクーデタでナポレオンが総裁政府を打倒
→あらたに統領政府を成立させた
★特徴:3人の統領が権力を握る(とはいえ、第一統領のナポレオンに権力が集中)
第2回対仏大同盟の脅威に対して、総裁政府は無策であった。
そんな総裁政府に対して不満が募る中、あの男が動きます。
ナポレオンがブリュメール18日のクーデタで総裁政府を打倒
1799年にナポレオンを第一統領とする「統領政府」を樹立しました。
※総裁政府のグダグダ具合については、前回記事を参照
第一ってことは第二もあるんですか?
第三統領までありますが、あまり覚えなくても大丈夫です。
緊急時に意思決定が遅くなるのをふせぐため、実権の多くは第一統領に集中しています。
表舞台に出てくるのは、第一統領のナポレオンだけです!
※ちなみに第二統領はシェイエスです
『第三身分とは何か?』というパンフレットを発刊したことでおなじみですね。
ナポレオンの政策目標
「フランス国民に安心感を与えること」
「フランスを繁栄させること」
ローマ教皇と宗教協約(コンコルダート)を締結
★背景:フランス革命発生以降、ローマ教皇と断交状態が続いていた
★目的:ローマ教皇と和解し、熱心なカトリック信者が多いフランス国民を安心させたい
★結果:ローマ教皇との和解に成功
→ただし、フランス政府は革命時に奪った教会財産は返還しない
フランス革命中には特権階級の聖職者への怒りが爆発
革命政府は「教会財産の没収」を宣言し、
フランス国内のカトリック教会から、財産を没収しました。
これに対抗する形で、
カトリック教会の総本山 ローマ教皇庁はブチギレ
フランス国民を破門しました。
※補足:中世の時代ほど深刻にはとらえられてはいませんが、
破門処分を受けた人は「人の形をした豚」と言われて蔑まれた時代もあったので
熱心なキリスト教徒からすると、破門処分は不安です。
そこでナポレオンはローマ教皇庁と和解し、フランス国民を安心させようとしました。
結果として和解に成功しました。
革命中に没収した教会財産はどこにいったかわからないので、
返還のしようがありません。
ですから、革命中に奪った教会財産は、カトリック教会には返還されませんでした。
上位の私大になるとここまで聞いてくるケースもあるので、
いちおう頭の片隅にはおいておいてください。
フランス銀行の樹立
フランスで産業革命を成功させるために、金融システムの構築を行おうとした
こちらはフランスの繁栄を願った政策です。
当時のヨーロッパで最強の国はイギリスでした。
イギリスの強さの秘密は「産業革命」でした。
イギリスは綿織物の製造を機械で行い、質の高い綿織物を大量生産できます。
つくった綿織物を輸出してボロ儲け そりゃ強いわ。
ナポレオンはフランスでも産業革命を起こし、
イギリスに追いつくことに必死になりました。
そのために必要だったのが、「金融システム」です
産業革命を起こすために必要な要素は何ですか?
工場を建てる
機械をつくる(買う)
原材料の綿花を調達する
従業員を雇う
いろいろですね…
お金ですね!
でも大金がかかりそう…
そういうことです。
新しく工場を建てて、製造機械などを用意するためには
お金が必要です。
「工場を建てたいけど、お金がない」
という人もたくさんいて、その場合はお金を借りなければなりません。
お金を借りるときには銀行を頼ります。
銀行はお金が足りない人にお「金」を「融」通するという意味で、
銀行は「金融」と呼ばれます。
でも、銀行の持っているお金の量にも限りがあります。
たとえば100人の社長に1億円ずつ貸そうと思ったら、
手元に100億円がいりますよね?
「社長たちにめっちゃお金を貸したいけど、手元にお金がないんだよね…」
って悩んでいる銀行が多かったのです。
そこでナポレオンが動きます。
「銀行の銀行をつくるぞ!」
そして、通貨発行権を持つ中央銀行として「フランス銀行」をつくりました。
銀行の銀行って何でしょうか…
銀行もお金が足りないときは、お金を誰かから借りることができます。
銀行にお金を貸すことができる「特大銀行」みたいなポジションとして、
フランス銀行をつくりました。
図式化するとこんな感じです。
※写真提供 いらすとや イラストAC
フランス銀行は通貨発行権を持っていますから、
「インフレを引き起こさない程度に」という条件つきですが
まんいち紙幣が足りないときには、印刷することができます。
そして、一般の銀行に対してお金を貸し出す役割を担いました!
長くなりましたがこんな感じです
なるほど!
イギリスとアミアンの和約を締結(第2回対仏大同盟と和解)
★背景:1792年以降10年間、フランスは戦争状態が続いていた
→フランス国民は疲弊し、戦争の終結を望んでいた
★目的:対仏大同盟との戦争を終わらせ、フランスを平和にする
★結果:イギリスとの和解に成功 イギリスは第2回対仏大同盟を解散した
ざっとまとめるとこんな感じです。
1789年のフランス革命
そのあと国内がカオスな状態になり、オーストリアと戦争
ルイ16世の処刑後は対仏大同盟との戦争がずっと続いている…
フランス国民からすると、どこにも心の平穏がありません。
ナポレオンは内政の安定を求め、対仏大同盟との停戦交渉に入りました。
イギリスはこの停戦交渉に応じ、フランスとの戦争を終結させました。
フランス国民は大喜びし、平和の実現の功績から、
ナポレオンは「終身統領」に就任しました
ナポレオンさん!
死ぬまで統領をやってくれ!
ってことですね!
そうです。なんか見たことありませんか?
古代ローマのユリウス=カエサルです
彼も国民にエサをばらまき、絶大な人気を得たあと、
終身独裁官(ディクタトル)に就任しましたね。
ナポレオンは歴史が得意科目でしたから、歴史上の偉人について学び
権力を掌握する方法も心得ていたということです。
ナポレオン法典(フランス民法典)の編纂
1804年になると、ナポレオンがナポレオン法典を編纂し、発令
フランス国民の権利について明記しました。
★背景:終身統領への就任にともない、ナポレオンの独裁が懸念されていた
★目的:ナポレオンが市民に寄り添った政治家であることをアピールしたい
★内容
①革命を通じて得た「自由」「法の下の平等」を保証した
※ただし、男女平等は認められていない。
②財産権の不可侵を明記し、フランス人権宣言の内容を再確認した
フランス国民の反応はいかに?
フランス国民は権利を保証してくれたナポレオンの寛大さに感激し、
ナポレオンを大いに信頼しました。
ナポレオンは国民の心をつかむのがお上手でした。
1805年 ナポレオンの皇帝即位
★背景:諸政策で国民に安心を与え、ナポレオンは絶大な人気を獲得
★結果:国民投票を実施し、ナポレオンの皇帝即位に賛成多数
→ナポレオンは皇帝即位に成功した
ナポレオンはある日、言いました
「もし国民が望むのであれば、終身の皇帝になってもよいが」
「皆が望まないのであれば、私は統領のままでいる」
言い方がうまいですね(笑)
そして国民投票を行いました。
結果はドキドキでしたが、賛成が過半数を占めました。
なぜフランスには皇帝が必要だったのでしょうか?
革命によるカオスな社会と、対外戦争の危機に面して
国民は不安だったからでしょうね。
不安なときこそ、強いリーダーがいてくれた方が安心できます。
そんな群集心理が働いたのでしょう。
ナポレオンの皇帝即位によって、フランスの政治制度は変化
「統領政府」は意味をなさなくなり、解散
ここからナポレオンによる帝政期「第一帝政」が始まります!
今回はここまで!
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