デカブリストの乱とは? 世界史教師が解説

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てっちり

元 高校世界史教師

教室での授業では、限られた人数に対してしか歴史を伝えられないことに物足りなさを覚える。
そしてもっと多くの人に歴史の面白さを伝えるために
教師を辞めてネットで世界史関連のコンテンツを配信するようになった。

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こんな人におすすめ

ウィーン体制下のヨーロッパについて学んでいますが、

反乱が多すぎて区別がつきません。

あと、デカブリストの乱の背景や反乱の目的が

いまいちピンときません。

わかりやすく教えてほしいです。

とお悩みの方

 

 

この記事からわかること

・デカブリストの乱とは?(簡潔に)

・デカブリストの乱の背景

・デカブリストの乱の鎮圧

・【質問】ロシア政府はなぜ、自由主義運動を徹底的に弾圧するのか?

・オススメの書籍

 

確かに19世紀の歴史って覚えることが多くてしんどいですよね。

 

自分も受験生の頃、

反乱が多すぎて区別がつかなかったのを覚えています。

 

教える側として教壇に立っても、

この反乱の目的って何だろう?

ということをけっこう考えさせられました。

 

そんな難しい単元をスッキリ理解できるように

今回は解説していきたいと思います。

 

デカブリストの乱 簡潔に

デカブリストの乱とは、

1825年のロシアで起こった、

軍の青年将校たちを中心とする自由主義運動です。

 

軍の青年将校たちはロシアの時代遅れな政治体制を批判し、

ツァーリズム(皇帝専制)の廃止

農奴制の廃止などの諸改革を求めました。

 

権力をほしいままにする皇帝や、

広大な領地と農奴を保有する地主貴族がこれに反発し、

デカブリストの乱は鎮圧されていきました。

 

この記事では、

デカブリストの乱の背景・結果などを、

「なぜこうなった?」

という視点で解説していきます。

 

デカブリストの乱の背景

反乱の主役は軍の青年将校

反乱の主役となったのは、

軍の若い将校たちでした。

 

ロシアの青年将校たちは、

ロシアの後進性を自覚していました。

 

「弱いロシアと強い西欧の国々」

この差を埋めるためには、

ツァーリズム(皇帝専制政治)の廃止と、

農奴の解放が必要だと考えたのでした。

 

若い将校たちがこのように思ったきっかけは

フランスのナポレオンとの戦争でした。

 

彼らはナポレオンとの戦争に従軍した経験があり、

ナポレオンが率いたのフランス軍の強さを目の当たりにしていたのです。

 

ナポレオン戦争初期はナポレオンが圧勝し、

ロシアはアウステルリッツの戦いやイエナの戦いなどで連敗しています。

 

フランス軍の強さを支えていたのは兵士の戦意の高さでした。

フランスは革命によって自由で平等な国になり、

農民たちも自分の土地を持つようになりました。

 

フランス国民は革命によって得た

自由・平等・自分の土地などといった財産を守るため、

国を守るために必死で戦ったのです。

こうした理由から、フランス軍の戦意は非常に高かった

 

しかしロシアはどうでしょうか?

農民は自分の土地を持たず、

貴族が持つ土地で働かされ、

貴族から高い地代を請求され、

つくった農作物の多くは国から接収される…

 

もちろん農奴に参政権はないので、

こうした苦しい生活から抜け出すために、

政府に対して意見を言うことすらできません。

 

言論の自由もなく、

政府の政策や現状への不満を言うこともできません

 

はたしてロシアの農奴たちは、

こんなロシアを守ろうと思って頑張ってくれるのでしょうか?

自分がロシアの農民だったら、

めちゃくちゃ意欲が低くなると思います(笑)

こうした背景からロシアの青年将校たちは、

「強いフランスと弱いロシア」

この差を埋めるためには、

ツァーリズム(皇帝専制政治)を廃止して、

自由に政治的な意見を言える国にすること

 

農奴を解放して

農民たちに自由な生活を与え、

農民に愛国心を持たせることが必要だと考えたのです。

 

青年将校たちは他にも、

自由で平等な社会への憧れも抱いていたようです。

 

デカブリストの乱の展開

1825年12月(12月を「デカーブリ」という)

皇帝アレクサンドル1世が急死しました。

こうしてロシアでは皇帝が代替わりし、

ニコライ1世が新皇帝に即位しました。

 

反乱を起こした青年将校たちは、

「皇帝の代替わりのときこそ、政治改革のチャンスだ!」と考えて、

このタイミングで反乱を決行しました。

 

しかし皇帝側は不穏な動きを察知していて、

すぐさま反乱の鎮圧に動いたのです。

 

こうして500人以上の人々が逮捕され、

シベリアへの流刑を言い渡されました。

こうしてデカブリストの乱は失敗に終わりました。

 

【質問】そもそもロシア政府が自由主義運動を弾圧したのはなぜ?

当時のロシア帝国政府は、

「自由・平等」を掲げた、

19世紀の市民運動をかたっぱしから弾圧していきました。

 

これには理由があります。

 

農奴を中心とする民衆に自由を認めてしまうと、

ロシアが支配するポーランド人などの民族も、

「俺たちを自由にしろ!」

といって騒ぎ出すからです。

 

隣の国で革命が起こって、

自由になった人がいるだけでも、

ロシアから支配を受けている民族が

独立運動を起こしてしまうぐらいですから、

 

ロシアの貧民に対して自由を認めてしまうと、

ロシア国内全土で民族独立運動を引き起こしてしまう可能性もあったのです。

 

だからロシア政府は、

うかつに「自由にしてやるぞ」

なんて言葉を発することはできなかったのです。

 

学ぶのにオススメの書籍

デカブリストの乱など、

ウィーン体制下のヨーロッパについて学べる本をいくつかピックアップしてみました。

学習の参考にしてください。

 

世界の歴史〈16〉ヨーロッパの栄光 (河出文庫)

世界の歴史〈16〉ヨーロッパの栄光 (河出文庫)

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世界の歴史シリーズは世界史教師のバイブルです。

歴史全体を俯瞰した内容や、

細かなストーリーなども描かれているので、

 

「大まかに歴史を学びたい」

「小ネタとしてのストーリーを知りたい」

といった人におすすめです。

 

世界の歴史 11 ヨーロッパの自由主義とアジアの動揺 一八三〇~一八六〇年

本を読むのは苦手だな…

漫画で世界史を学びたいな…

 

という人ならコレがおすすめです。

イラストがあるのでイメージが浮かべやすいし、

歴史の躍動感が伝わってきます。

 

「これから歴史に興味を持って、学んでいきたい」

という人にはお勧めですね。

 

世界の歴史 11 ヨーロッパの自由主義とアジアの動揺 一八三〇~一八六〇年

Kindle版  単行本

 

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