こんな人におすすめ
ウィーン体制について学んでいるんですが
難しくてよくわかりません。
誰かわかりやすく教えてください。
とお悩みの高校生・大学受験生・世界史を学びなおしている社会人の方
この記事からわかること
ウィーン体制(1815年~1848年)に関する疑問にお答えします。
①ウィーン体制ってそもそもどんな時代なの?
②いつ始まって、いつ終わったの?
③「諸国民の春」ってどういう意味なの?
といった疑問に、できるだけわかりやすくお答えします。
ウィーン体制について
ウィーン体制ってどんな時代?
ウィーン体制とは、1815年のウィーン議定書の締結から始まり
1848年のフランス二月革命によって終わりを迎えるヨーロッパの情勢のこと
実際にどんな時代だったか、手短に説明します
「自由で平等な社会をつくりたいと思っている自由主義派」と
「自由で平等な社会にしたくない保守派」との戦いが起こった時代です
具体例を示すとわかりやすいと思うので、実際の国名を挙げて例を示します。
自由主義派:自由で平等な国をつくりたい市民
保守派:自分の権力を守りたい貴族・国王
の間で戦いが起こった。
自由主義派:宗主国から独立して自由になりたい少数民族と
保守派:独立させまいとする多数派民族(支配民族)
の間で戦いが起こった。
たとえばオーストリアの場合だと…
支配下のハンガリー人やチェック人が独立しようとしたが、
多数派民族(支配民族)のドイツ人が独立を阻止しようとした
自由主義派:参政権を求める市民
保守派:参政権を独占している地主たち
との戦いが起こった
ざっとこんな感じです。
ウィーン体制を迎えた背景 なぜこうなった?
ウィーン体制下のヨーロッパでは、
「自由で平等な社会を築きたい」とする自由主義者の活動が活発になりました。
「自由」と「平等」という言葉が当時のヨーロッパ社会でバズった原因は…?
1789年のフランス革命です
「革命によってフランスが自由で平等な国に生まれ変わった」
このニュースがヨーロッパ中に広まり、
ヨーロッパ全体で自由&平等ブームが起こりました
そしてあちこちで自由主義運動・革命運動・独立運動が多発したのです
しかし、ときの権力者たちはこの動きを抑えにかかります。
1814年 ウィーン会議が開かれました。
議題は、フランスが起こしたナポレオン戦争の後始末をどうするか
各国の国王や、保守派の政治家たちは口をそろえて
「正統主義」という考え方に賛同しました。
「フランス革命前の不自由で不平等なヨーロッパの姿に戻そう」
「フランス革命前の社会の在り方が正しい(正統だ)」
という考え方です。
たとえば?
ブルボン家による王政を復活させる
国王はブルボン家の生き残りルイ18世(処刑されたルイ16世の弟)とする
こうして、各国の権力者たちが総出になって
「ヨーロッパを自由で平等な社会にはしないぞ」という意思表示を
自由主義者たちに向けておこなったのでした。
でも、「ダメ」と言われたら逆に燃え上がるのが人間っていう生き物です
自由主義者たちは、自国を自由で平等な社会にしようと必死で戦いました。
ウィーン体制の結末と「諸国民の春」
1848年にウィーン体制は終わりを迎えます。
戦いの勝者は自由主義者でした。
1848年に何があったんですか?
1848年 フランスで二月革命が起こりました
厳しい制限選挙を行い、参政権を平等に与えなかった国王に不満がつのり
市民たちが武装蜂起
そして国王ルイ=フィリップが追放されました。
フランスでは新政府が立ち上がり、
フランスでは男子普通選挙を行うようになったのです
女性は参政権を得ることができませんでしたが、
少し前進して「男子が平等に選挙に参加できる国」になったのです。
「フランスが再び平等な国になったらしい」
このニュースはモールス信号(電報)を通じて各国に伝わりました
そして各国で自由主義運動が白熱し、各地で自由主義者たちが勝利していきました。
オーストリアではウィーン三月革命が発生
ウィーン会議を主催した外相メッテルニヒが失脚しました
「ウィーン会議の主催者権力を失った」
これを「ウィーン体制の崩壊」と言い、
各地で自由主義者が革命を成功させたさまを「諸国民の春」と言います。
ウィーン議定書で定められた
「フランス革命前の不自由で不平等な社会が正しい」
という時代は打ち破られたのでした。
【質問】「諸国民の春」 名づけの意味は?
まず「春」というのは「新しく何かが開くとき」を表しています。
たとえば季節の「春」だと、
「新しい年度が開く季節」
「新しく桜の花が開く季節」
となります。
では「諸国民の春」の意味は…
「フランス二月革命をトリガーとして、
ヨーロッパ諸国で、新たに自由で平等な社会が開かれた」
ということになります。
【余談】 「春」の語源
春という言葉の語源は
「墾田永年私財法」でおなじみの「墾」という字です
ちなみに「墾」という字を訓読みにすると、「墾る(はる)」となります
そして「墾」とは、「新しく何かを開く」という意味です。
つまり「墾田」とは、「新しく田を開拓する」という意味になります。
おわかりでしょうか?
「春」とは新しく何かが開く季節
「墾(はる)」とは、新しく何かを開くこと
実はこんなところで言葉遊びができます。
世界史とは関係ないですが、
歴史をたどっていくとこんなにも面白い出会いがありますね。
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