フランス革命でフランス社会はどう変わったのか?【フランス革命をわかりやすく①】

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てっちり

元 高校世界史教師

教室での授業では、限られた人数に対してしか歴史を伝えられないことに物足りなさを覚える。
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単元解説 フランス革命

この記事はこんな人におすすめ

「フランス革命によって、フランスの何がどう変わったの?」

と疑問に思っている受験生の方、定期テストを控えている学生さん、

世界史を学びなおしている社会人の方

この記事からわかること

フランス革命の歴史的意義(革命前と比べて、フランス社会の何がどう変わった?

フランス革命の歴史的意義

1789年にフランスで発生した市民革命のことを言います。

この革命による成果は主に4つあります。

ポイント

①フランスが自由平等な国となったこと

②フランス王家 ブルボン家による絶対王政が終わったこと

③国王や貴族ではなく、市民が政治の主役となったこと

国民意識(ナショナリズム)が高揚したこと

 

 

①フランスが自由で平等な国となったこと

革命前のフランス社会は超不平等な社会でした

その名も「旧体制(アンシャン=レジーム)

フランス革命によって、あらゆる不平等が解消されていきました

 

不平等の例としては以下が挙げられます

(1)経済格差

 第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)の人口は全国民の1%にも満たないのにも関わらず

 国土の40%以上の土地を独占していました。

 

(2)聖職者と貴族が持つ免税特権

第一身分(聖職者)と第二身分(貴族)は免税特権を持ち、国王から税を課されない

でも第三身分(市民・農民など)は容赦なく重税を課されます。

いちばん金を持っている連中が税を払わなくてよくて

いちばん貧しい人たちが税を取り立てられる

まさに弱肉強食の社会でした。

 

(3)聖職者が持つ十分の一税の徴収権

フランスのキリスト教会(カトリック教会)は聖書の教えに従い、

農民に神の御加護を与える見返りに

農民から「収穫の10分の1」を徴収することができました。

 この税を通称「十分の一税」と呼びました。

 

農民たちは「神の教え」と言わんばかりに、税を支払うしかありません。

この徴税も、農民たちの生活を圧迫していました。

さっきから農民への取り立てえぐくないですか?(泣)

 

(4)貴族が持つ封建的特権領主裁判権など)

貴族は大規模な土地を持ち、その土地を農民(小作人)に貸し出していました。

 

小作人は土地を借りている以上、土地のレンタル料、

つまり「封建地代を領主である貴族に支払わなければなりません。

 

土地を借りている側の小作人は貴族よりも下の身分におかれ

まんいち貴族に逆らう場合があった場合は、

怒った領主が小作人に対し、私的な裁判を行うことができます。

この権限を「領主裁判権」と言いました。

 

特に不平等な扱いを受けていた農民(小作人)たちはブチギレ

彼らは革命の際に、貴族や聖職者が持つ特権を廃止していきました。

 

ほかにも経済格差を解消するため、カトリック教会がもつ財産は没収され

1793年の「封建地代の無償廃止」で、貴族が持つ広大な土地は没収され、小作人に分配されました

 

 

②フランス王家 ブルボン家による絶対王政が終わったこと

革命のさなか

フランス国王ルイ16世と妻マリ=アントワネットは民衆の怒りを買い、

革命派によって逮捕

1792年 革命派内部の過激派集団 ジャコバン派によって処刑されました。

 

これによって、1589年より続いた強力な王家 ブルボン王朝は滅亡

フランスの絶対王政は終わりを告げました。

 

③国王や貴族ではなく、市民が政治の主役となったこと

国王の処刑後、紆余曲折ありましたが

フランス政府の代表は市民からの選挙でえらばれるようになり、

フランスは急激に民主化していきました。

 

これによって政治の主役は国王から市民へと移り

絶対王政が終焉を迎えました。

 

④国民意識(ナショナリズム)が高揚したこと

ナショナリズム?なんだそりゃ?

けっこう抽象的な概念なので、そう思う人も多いはず

できるだけわかりやすく解説します。

 

ポイント

ナショナリズムとは簡単に言うと

「何としてもこの国を守りてぇ」

「何としてもこの国を盛り上げてぇ」という、強い意識のこと

 

フランス国民がなぜこんな意識を持つようになったのか?

革命によって得たものを、外敵から守りたかったからです。

 

フランスの市民が革命によって得たものはたくさんあります。

・自由で平等な社会

・国王から重税を課されることのない日々

・貴族や聖職者から搾取されることのない日々

・投票にいくと、自分の意見が国に反映される制度

・貴族や教会から財産を没収し、皆に分け与えることで得た「自分の土地と財産

 

しかし近隣諸国の国王たちはフランス革命を妨害し

フランスの市民たちが得た自由を奪い取ろうとしました。

 

それもそのはず。

近隣諸国の王たちは、革命の余波が自国に及ぶことを恐れたのです

「フランスで国王が市民に殺されたらしい」

「フランス人が自由になれたらしい」

 

そんな噂が国内で広まってしまうと、

それぞれの国の市民階級の人々が思い始めます

「俺たちも自由になりたい」

「俺たちも自国の国王を打倒しよう」

とね

 

「朕(国王の一人称)はもしかしたら殺されてしまうかもしれない…」

諸外国の国王たちはおびえて震えあがり

フランス革命を妨害するために「対仏大同盟」を結成

そしてたびたびフランス領に侵攻しました

 

しかしフランス国民は諸外国の侵攻におびえるどころか、逆に燃え上がりました

「外国に屈すると、せっかく得た自由が、平等が、自分の土地や財産が、守るべき家族が奪われてしまう」

そう思って、フランス国民は一致団結して必死に戦いました。

こうした経緯があって、フランス人の国民意識(ナショナリズム)が高揚していったのです。

 

よくある質問

Q.フランス革命によってナショナリズムが高揚する前は、

 みんな国のために必死に戦わなかったんですか?

 

A.はい、そうです。

フランス革命前のヨーロッパの国々では、傭兵制が実施されていました。

つまり兵士はお金で雇われていたってことです。

雇われた兵士の心理状況はこうです

「死にたくねえ」「絶対に生きて帰って給料もらうぞ」

傭兵たちは死んだら給料をもらえませんから、死なない程度にゆるく戦いました(笑)

中には敵前逃亡を繰り返し、戦場にある農村から略奪をしまくる者まで現れ

まじめに戦おうとする兵士はなかなかいません。

そんなならず者傭兵集団と、

国民意識(ナショナリズム)が高揚した、意識の高い軍が戦ったら、

もちろん勝負は見えていますよね。

 

 

 

 

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