国民公会の内政 最高価格令・封建地代の無償廃止・メートル法の制定・革命暦の制定 なんのため?【フランス革命をわかりやすく⑥】

管理人
てっちり

元 高校世界史教師

教室での授業では、限られた人数に対してしか歴史を伝えられないことに物足りなさを覚える。
そしてもっと多くの人に歴史の面白さを伝えるために
教師を辞めてネットで世界史関連のコンテンツを配信するようになった。

てっちりをフォローする
単元解説 フランス革命

こんな人におすすめ

フランス革命を学んでいますが、

難しくてよくわかりません。

丁寧にわかりやすく説明してください。

とお考えの学生の方、受験生の方、世界史を学びなおしている社会人の方

 

フランス革命中の出来事を細かく区切り、

ひとつひとつのできごとについて詳しくわかりやすく説明していこうと思います。

 

この記事の対象語句

主に国民公会の時代の内政を詳しく説明します。

最高価格令の意味や出された背景は?

封建地代の無償廃止(封建的特権の廃止とどう違う?)

革命暦の制定 なんのため?

メートル法の制定

 

 

本題 国民公会の内政

最高価格令 意味は? 出された背景は?

最高価格令

★背景:冷害や革命戦争によって田畑が踏み荒らされ、穀物生産が低迷

物価(とくに穀物価格)が高騰し、庶民は食糧を買えなかった…

★対策:生活必需品の最高価格(上限価格)を定め

市民が生活必需品を買い求めやすいようにした

 

つまり、「パンは100円以上で売ってはいけませんよー

必ず100円未満で売ってくださいねー」

という命令を出すってことです!

高くてモノが買えない市民の困りごとに答える形をとったってことですね。

 

封建地代の無償廃止

封建地代の無償廃止 政策内容や意味

貴族の持つ土地を没収して、平民に無償で分配する政策

 

復習となりますが、貴族は大規模な土地を持っていました

その土地を小作人に貸し、地代収入(家賃・土地のレンタル料のこと)を得ていました

この地代のことを世界史では「封建地代」といいます。

 

「地代を無償で廃止する」ということはすなわち

「小作人たちを」「無料で」「地代の支払いから解放する」

という意味です。

 

「地代の支払いから解放する」というのはすなわち

「農民にマイホームとマイ農地を与えて、レンタルではないようにする」

ということを示しています。

 

封建地代の無償廃止 影響は?

結論から言うと、農民たちにマイホームを与えたことで、

農民の保守化」を招きました

農民の保守化とは?

「農民たちが現状に満足してしまい、革命の進行が止まってしまった」

と言えば正しいでしょうか…

 

農民たちの気持ちはこうです

「もう俺たちは念願のマイホーム・マイ農地を手に入れた」

「これさえあれば、安心して暮らしを送れる」

「でもせっかく安心した暮らしを手に入れたんだから、死にたくないよね」

 

そういって、対仏大同盟との戦争に対して

農民たちは消極的な態度を示すようになったのです…

 

たとえば徴兵を拒否する人も出てきました。

さすがに自分の村が襲われたら戦いますが、

徴兵されて「遠く離れた国境地域を守れ」って言われても

「死にたくない」って気持ちが勝ってしまったのです。

 

こうして革命の足並みがそろわなくなっていった結果

ロベスピエールは恐怖で人を動かすしかなくなってしまうのです。

 

封建的特権の廃止との違いは?

国民議会の時代の「封建的特権の廃止」との違いは何ですか?

この質問も多く寄せられますので、お答えします。

政策内容の比較

★封建的特権の廃止

①貴族の特権 領主裁判権などを廃止する

条件つきで、小作人は地代の支払いから解放される

40年分の地代を支払い、領主から土地を買い取った場合(つまり有償

 

★封建地代の無償廃止

条件なしで、農民たちに無償土地を分配する

 

こうした違いがあります。

 

政策が出された時代背景の比較

★国民議会の時代(封建的特権の廃止)

革命政府の権力の中枢に、ラ=ファイエットら貴族がいた

ラ=ファイエットたち貴族は、自分たちが不利になるような政策を行わなかった

→土地を無償で分配せず、買い取り方式にした

 

★国民公会の時代(封建地代の無償廃止)

貴族の多くは外国に亡命していた

権力の中枢も、貧民から支持を得たジャコバン派だった

→貴族に忖度せず、容赦なく土地を取り上げて、貧民に無償で分け与えた

 

こんな感じになります。

 

革命暦の制定と理性崇拝 なぜ? 意味は?

国民公会の時代には

ジャコバン派の※エベールを中心に※理性崇拝という考え方が流行しました

そして、従来のグレゴリウス暦が一時的に廃止され、新たに革命暦が制定されました。

 

※エベールと理性崇拝は超絶難関大を受けたい人だけ覚えておいてくれたらいいです(笑)

意味がよくわかりません。

ひとつひとつわかりやすく説明すると…

理性崇拝とは?

ざっくり言うと…

「霊的なものではなく、現実に存在するものだけを信じよう」

って考えのことです。

 

つまり、神様のような見えない存在を信じない!

キリスト教などの霊的な思想は信じない!

 

ってことでしょうか?

 

イメージでいうとそんなところです。

 

ジャコバン派のエベールたちはこう思っていました。

「あれだけ教会にお金をおさめたけど、神からの恩寵(救い)などあったか?」

「神など存在しないのではないか? だとしたら教会の権威は嘘だ!」

「奴らに十分の一税などおさめなくても、何も変わらない!」

「神などの見えないものにすがるのではなく、

ちゃんと理性をはたらかせて、目に見えるもの、肌で感じれるものを大切にしよう

イメージだけで説明するとこんな感じです。

 

グレゴリウス暦ってたしか、教会が定めたカレンダーですよね。

ご名答

霊的なものを信じないようにしようという風潮の中で、

カトリック教会(霊的なものを信じる団体)が定めたカレンダーは邪魔でした。

そこで、教会が定めたものではない暦(カレンダー)を使用することにしたのです。

 

具体的に何がどう変わったのですか?

少し比較しますね。

グレゴリウス暦と革命暦の比較(月の名の由来を例に)

★グレゴリウス暦

1月:January(扉の神 ヤヌスの月)

4月:March  (戦と農耕の神 マルスの月)

7月:July      (神格化された政治家 ユリウス=カエサルの月)

8月:August  (神格化された政治家 アウグストゥスの月)

といったように、各月に古代ローマの神の名や

神格化された人物の名があてられています

 

★革命暦

7~8月:テルミドール(熱月) / 10~11月:ブリュメール(霧月)

など、肌で感じることができる、実在する気象現象などをもとに

月の名がつけられています。

 

他にも革命暦は1週間が10日制だったり、

1時間=100分だったりと、細かい違いがありました。

 

難しかったので軽くまとめます

革命暦はなぜ定められた?

理性崇拝という風潮の中で、

神や宗教などの霊的なものが否定された。

カトリック教会も霊的なものと見なされ、

教会が定めたグレゴリウス暦を廃止した。

そして、国民公会が定めた「革命暦」を新たに制定した

 

となります。お悩みは解決されたかな?

 

メートル法の制定 目的は?

メートル法は地域によってバラバラだった度量衡の単位を統一するために制定されました。

提唱したのはウィーン会議のときに代表として出席するタレーランです。

彼は外交官だったので、グローバルな考えを持っていました。

「フランスだけでなく、ほかの国でも使えるような万国共通の単位をつくろう」

と言い出しっぺを切っていったのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました